通貨ペア

USD/CHF(米ドルスイスフラン)特徴・安全通貨としての動き・SNBの影響

USD/CHFは米ドルとスイスフランの通貨ペアです。スイスフランは「安全資産」として買われやすく、スイス国立銀行(SNB)の政策変更で急変した歴史もあるため、特徴と注意点を押さえます。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて

USD/CHFとは

USD/CHF は「1米ドルが何スイスフランか」を表す通貨ペアで、市場では「スイシー」と呼ばれることがあります。スイスフランは、政治・経済が安定した国の通貨として、世界的なリスク回避局面で買われやすいとされる通貨の一つです。そのため、株価が急落する局面ではスイスフラン高(USD/CHF の下落)になりやすい傾向があります。

基本の特徴

  • ユーロとの結びつきが強い:スイスは欧州の中心にあり、貿易の多くを欧州と行います。そのため EUR/CHF が安定的に推移する性質があり、USD/CHF は EUR/USD と逆方向に動きやすい(負の相関)ことが知られています。
  • 小数点以下4桁の表示で、1 pip は 0.0001 です。損益はスイスフランで発生します。
  • 取引量は主要通貨ペアほど多くないため、スプレッドは時間帯によってやや広がります。

EUR/USD との関係(目安)

局面 EUR/USD USD/CHF
ドル高 下落しやすい 上昇しやすい
ドル安 上昇しやすい 下落しやすい

ただし、相関は時期によって変わります。常に成立すると決めつけず、直近の動きで確認します。

値動きの主な要因

要因 内容
SNBの政策 政策金利の決定(年4回の金融政策評価)、為替介入の方針
欧州経済・政治 ユーロ圏の景況、ECBの政策
リスク心理 株価急落・地政学リスクでのフラン買い
米国の金利・指標 ドル全体の強弱

SNBショック(2015年1月)

スイス国立銀行は、2011年9月から EUR/CHF に最低為替レート(1ユーロ=1.20フラン)を設けて、フラン高を抑えていました。ところが2015年1月15日、この下限を突然撤廃したため(同時に政策金利も−0.75%へ引き下げ)、フランが急騰し、EUR/CHF が一時約3割下落する急変動が起こりました。証拠金を超える損失が生じた投資家や、経営が悪化した業者も出たとされています。中央銀行の方針が、ある日突然変わり得ることを示した代表例です。

取引上のポイント

  1. EUR/USD のチャートを併せて表示し、方向が逆に動いているか確認する。
  2. SNBの政策発表日(年4回)は、ポジションを減らすか、取引を控える。
  3. 株価が急落する局面では、フラン買い(USD/CHF 下落)が出やすいので、買いポジションは特に注意する。

USD/CHFの注意点

  • 国内業者では、スイスフラン関連の通貨ペアの取扱いがない、または限られる場合があります。取扱いとスプレッドを確認してください。
  • スイスの政策金利が米国より低いとき(マイナス金利を採用していた時期を含む)は、USD/CHF の売り(フラン買い)でスワップが支払いになり、買いで受け取りになることが多いです。実際の水準は会社の提示値で確認します。

USD/CHFでよくあるミス

  • 「安全通貨だから動かない」と考え、数量を増やす。SNBの発表やリスクオフでは、むしろ急変動します。
  • EUR/USD の買いと USD/CHF の買いを同時に持ち、方向が逆なのに「分散できている」と錯覚する(実際は、ドルの方向に両方が連動して損益が相殺されたり、逆に重なったりする)。

USD/CHFのFAQ(よくある質問)

Q. スイスフランは円と同じ「安全資産」ですか?
A. どちらもリスク回避時に買われやすい通貨とされますが、理由は異なります。円は日本の対外純資産の大きさや低金利による資金調達通貨としての性格が、フランは政治的中立や経常黒字の大きさが背景とされます。

Q. 初心者がUSD/CHFを取る意味はありますか?
A. 取引対象としてより、ドルとユーロの関係を確認する参考指標として使われることも多いです。

ケース:EUR/USD と USD/CHF を同時に持つとどうなるか

EUR/USD の買いと、USD/CHF の売りは、どちらも「ドル売り」の方向です。ドルが下落すれば、両方に利益が出ますが、ドルが上昇すれば、両方に損失が出ます。

ポジション ドル高のとき ドル安のとき
EUR/USD 買い 損失 利益
USD/CHF 売り 損失 利益
合計 損失が重なる 利益が重なる

一方、EUR/USD 買いと USD/CHF 買いを同時に持つと、ドルの影響は相殺されます。このとき、残る損益は、ユーロとスイスフランの差(EUR/CHF)の動きに近くなります。このように、通貨ペアの組み合わせで、取っているリスクの正体が変わります。

筆者の見解(USD/CHF)

SNBショックの教訓は、「安全」と見られる通貨ほど、政策当局が相場を人為的に支えている場合、その解除が最大のリスクになるという点だと考えます。レートが長く安定しているときこそ、損切りの置き方と数量を見直すべきだと思います。

USD/CHFの関連項目

出典(一次情報)

本記事は情報提供を目的としており、投資助言・売買の推奨ではありません。「筆者の見解」は一つの考え方であり、結果を保証するものではありません。FX取引は元本を上回る損失が生じるおそれがあります。