両建てとは仕組み・メリット・デメリット・証拠金とスワップの扱い
両建ては、同じ通貨ペアで買いと売りのポジションを同時に持つことです。損失の拡大を一時的に止める効果がありますが、コストがかかり、解消の判断が難しいなどのデメリットがあります。
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両建てとは
両建て(りょうだて)は、同じ通貨ペアで、買いポジションと売りポジションを同時に保有することです。英語ではヘッジ(hedge)や、ロック(lock)と呼ばれることもあります。
価格が上がっても下がっても、買いと売りの損益が相殺されるため、含み損益の変動が止まったように見えます。ただし、実際には、いくつかのコストやリスクが生じます。
仕組み
USD/JPY を150.00円で1万通貨買った後、149.50円に下がった時点で、1万通貨を売り(両建て)した場合です。
| 状態 | 内容 |
|---|---|
| 買いポジション | 150.00円で1万通貨(含み損 −5,000円) |
| 売りポジション | 149.50円で1万通貨(新規) |
| 以後のレートの変動 | 買いの損益と売りの損益が、逆に動き、合計は −5,000円で固定される |
合計の含み損益が固定されるため、これ以上の損失の拡大を止める効果があります。
両建てのメリット
- 損失の拡大を、一時的に止められる。
- 重要な指標や、週末をまたぐ間の値動きのリスクを避けたいときに使える。
- 損益の確定のタイミングを、調整する目的で使われることもある(ただし、コストが増えるうえ、税務上の扱いは確定した損益に基づくため、注意が必要)。
両建てのデメリット
| デメリット | 内容 |
|---|---|
| スプレッドのコスト | 新規の売りを出すときに、スプレッド分のコストが発生する |
| スワップの影響 | 買いと売りで、スワップの受け払いが異なり、差し引きがマイナスになることがある |
| 必要証拠金 | 会社により、両建て分の証拠金が必要な場合がある(相殺される会社もある) |
| 解消の判断が難しい | どちらを、いつ決済するかの判断が、より難しくなる |
| 損失が確定しない | 含み損を抱えたまま、時間が過ぎる |
必要証拠金の扱い
両建てしたときの必要証拠金の扱いは、会社によって異なります。
| 方式 | 内容 |
|---|---|
| 相殺される | 買いと売りの数量が同じ場合、必要証拠金が小さくなる、またはゼロになる |
| 片方のみ必要 | 数量の多いほうの証拠金のみが必要 |
| 両方必要 | 買いと売りの合計の証拠金が必要 |
自社の取引ルールで確認します。
具体例:両建ての解消
両建ての解消では、次のような選択があります。
| 選択 | 結果 |
|---|---|
| ① 先に損をしているポジションを決済 | 損失が確定し、残りのポジションは、利益が伸びる可能性(または損失が増える可能性) |
| ② 先に利益が出ているポジションを決済 | 利益が確定し、残りは、含み損のまま、方向リスクが戻る |
| ③ 両方を同時に決済 | 損益が確定し、取引を終了できる |
どれを選んでも、判断の難しさは残ります。多くの場合、③の同時決済が、最も単純です。
両建ての実践ステップ
- 両建てを使う目的(例:指標の間だけ)を決める。
- 解消の期限・条件(例:発表の後、15分以内)を決める。
- 会社の必要証拠金・スワップの扱いを確認する。
- 解消するときは、損益を計算してから決済する。
- 両建ての記録を残し、結果を振り返る。
両建ての注意点
- 会社によっては、両建てを禁止している、または制限している場合があります。
- 金融庁の監督指針では、両建ては手数料の二重負担、スワップポイントの逆ざや、スプレッドの二重負担などのデメリットがあり、「経済合理性を欠くおそれがある取引」とされています。業者が両建てを勧誘することは禁止されており、顧客の照会に答える場合も、これらのデメリットに触れる必要があります。
- 両建ては、損失を先送りしているだけの状態になりやすい点に注意します。
- 異なる会社の口座で、買いと売りを分けて持つ場合は、証拠金が二重に必要になり、ロスカットも別々に判定されます。
両建てでよくあるミス
- 損失を確定したくない気持ちから、両建てを選び、そのまま長期間放置する。
- 両建てのスワップがマイナスになり、日々のコストが積み上がる。
- 解消のタイミングが分からず、結局、損失が拡大する。
両建てのチェックリスト
- 取引会社が両建てを認めているか、証拠金・スワップの扱いを確認したか。
- 両建ての目的と期限を、事前に決めたか。
- 両建て中の合計の損益を、把握しているか。
両建てのFAQ(よくある質問)
Q. 両建ては、損失を防げますか?
A. 損益の変動は止まりますが、すでに出た含み損はそのまま残ります。また、スプレッドやスワップのコストが追加されます。
Q. 両建ては、税金に有利ですか?
A. 損益を、年をまたいで調整する目的で使われることがありますが、確定した損益のみが課税対象になるため、判断は慎重にします。税務の詳細は、国税庁の情報や、専門家に確認してください。
Q. 両建てを、初心者が使ってもよいですか?
A. 使う場合は、コストと仕組みを理解した上で、目的と期限を決めておくことが前提です。目的が曖昧だと、損失の先送りになりやすく、多くの場面では、損切りで単純に決済するほうが分かりやすいとされます。
筆者の見解(両建て)
両建ては、「損失を確定させたくない」という感情に応える、便利な道具に見えますが、実際には、判断を一度先送りするだけで、より難しい判断(どちらをいつ決済するか)を生むことが多いと考えます。損切りの代わりではなく、特定のイベントをやり過ごす一時的な手段として、期限を決めて使うのが、安全な使い方だと思います。
両建ての関連項目
- 買いポジション・売りポジション
- ポジション
- 証拠金
- スワップポイント
- 損切り(ストップロス)
出典(一次情報)
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・売買の推奨ではありません。「筆者の見解」は一つの考え方であり、結果を保証するものではありません。FX取引は元本を上回る損失が生じるおそれがあります。