ATRとは計算式・値幅の目安・損切り幅とポジションサイズへの使い方
ATR(平均真の値幅)は、一定期間の平均的な値動きの大きさを示す指標です。方向は示さず、損切り幅や数量を決める際の物差しとして使われます。計算式と使い方を、具体例で整理します。
公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
ATRとは
ATR(Average True Range:平均真の値幅)は、ウェルズ・ワイルダー氏が考案した、一定期間の値動きの大きさ(ボラティリティ)を示す指標です。価格の方向は示しません。「最近の相場は、1日(または1本)で、平均的にどのくらい動いているか」を、数値で教えてくれます。
ATRの計算式
まず、1本ごとの真の値幅(TR:True Range)を求めます。
TR = 次の3つの最大値
① 当日の高値 − 当日の安値
② |当日の高値 − 前日の終値|
③ |当日の安値 − 前日の終値|
前日の終値との窓(ギャップ)も含めて、値幅を測るのが特徴です。ATRは、TRの平均で、標準の期間は14です。
ATR(14) = TRの14期間の平均(ワイルダー平滑化)
計算例(TR)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 当日の高値 | 151.00 |
| 当日の安値 | 150.20 |
| 前日の終値 | 149.80 |
| ① 高値 − 安値 | 0.80 |
| ② 高値 − 前日終値 | 1.20 |
| ③ 安値 − 前日終値 | 0.40 |
| TR | 1.20(最大値) |
窓を空けて上昇した日は、①だけでは値動きの大きさを過小評価するため、②・③も使います。
ATRの見方
| ATRの変化 | 解釈 |
|---|---|
| 上昇している | 値動きが大きくなっている(ボラティリティの拡大) |
| 低下している | 値動きが小さくなっている(収縮) |
| 高い水準 | 損切り幅を広く、数量を小さくする必要 |
| 低い水準 | 損切り幅を狭くできる。ブレイクの前触れの場合も |
ATRは、通貨ペアによって水準が異なります。たとえば、同じ円ペアでも、GBP/JPY のATRは、USD/JPY より大きい傾向があります。
ATRの使い方
1. 損切り幅の決定
エントリー価格から、ATRの1〜3倍の距離に、損切りを置く方法があります。通常の値動きで、損切りにかかりにくくなります。
| 設定 | 損切り幅 | 例(ATR=0.80円) |
|---|---|---|
| ATRの1倍 | 狭め | 0.80円 |
| ATRの1.5倍 | 標準的 | 1.20円 |
| ATRの2倍 | 広め | 1.60円 |
2. ポジションサイズの調整
損切り幅が決まれば、許容損失額 ÷ 損切り幅で、数量を決められます(ポジションサイズの計算参照)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資金 | 100万円 |
| 許容損失(1%) | 1万円 |
| ATR(14)× 1.5 | 1.20円 |
| 数量 | 10,000円 ÷ 1.20円 = 約8,333通貨 |
値動きが大きい(ATRが高い)日ほど、数量を減らす判断になります。
3. 利確目標の目安
ATRの2〜3倍を、利確目標の目安にする方法もあります。
4. ボラティリティの把握
ATRが、急に上昇した場合、重要なイベントなどで、相場が不安定になっていることを示します。
ATRの実践ステップ
- 取引する通貨ペアの日足のATR(14)を確認する。
- 損切り幅を、ATRの1〜2倍程度で設計する。
- 損切り幅と許容損失から、数量を決める。
- 通貨ペアごとに、ATRの水準を記録して、比較する。
- 定期的に、ATRの変化を見直す。
ATRの注意点
- ATRは、過去の平均であり、将来の値動きを保証しません。
- 方向性は示しません。他の指標やチャート分析と、組み合わせます。
- 時間足によって、ATRの意味が変わります。日足のATRと、1時間足のATRは、別物です。
ATRでよくあるミス
- ATRの値を、売買のサインとして使う。
- 損切り幅を、ATRより狭く設定して、通常の値動きで、何度も損切りされる。
- 通貨ペアが変わっても、同じ損切り幅(pips)を使う。
ATRのチェックリスト
- 使う時間足のATRを、確認しているか。
- 損切り幅を、ATRの何倍かで把握しているか。
- 数量を、損切り幅から逆算して決めているか。
ATRのFAQ(よくある質問)
Q. ATRの数値は、pipsで見ますか?
A. 多くのツールでは、価格単位(円など)で表示されます。USD/JPYの0.80は、80 pipsです。
Q. ATRの期間は、14が最適ですか?
A. 標準の設定ですが、短い期間では敏感に、長い期間では安定的になります。取引スタイルに合わせて選びます。
Q. ボラティリティが高い通貨ペアを避けるべきですか?
A. 一概には言えません。値動きが大きい分、リスクも大きいため、数量を調整する判断が必要です。
筆者の見解(ATR)
ATRは、「損失を、一定に保つための物差し」だと考えます。値動きの大きい日と小さい日で、同じ数量・同じpipsの損切りを使うと、リスクが日によって変わってしまいます。ATRを使って、損切り幅と数量を調整すると、リスクを揃えやすくなり、結果として、損失の管理がしやすくなると思います。
ATRの関連項目
- ボラティリティ
- ポジションサイズの計算
- 損切り(ストップロス)
- ボリンジャーバンド
- GBP/JPY(ポンド円)
出典(一次情報)
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・売買の推奨ではありません。「筆者の見解」は一つの考え方であり、結果を保証するものではありません。FX取引は元本を上回る損失が生じるおそれがあります。