スリッページとは発生する理由・有利と不利・対策と許容幅の設定
スリッページは、注文したレートと、実際に約定したレートの差のことです。成行や逆指値で起こりやすく、有利にも不利にもなります。発生する場面と、対策を整理します。
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スリッページとは
スリッページ(slippage)は、注文を出したときのレートと、実際に約定したレートとの差です。「滑る」という意味で、約定価格が、希望した価格から滑ってずれる現象を指します。
| 種類 | 内容 | 損益への影響 |
|---|---|---|
| 不利なスリッページ | 買いで高く、売りで安く約定した | 損失が増える |
| 有利なスリッページ | 買いで安く、売りで高く約定した | 利益が増える |
ずれの方向は、必ず不利とは限りませんが、一般的に、急変動時は不利な方向のずれが目立ちやすいです。
なぜ起こるのか
- 注文から約定までの時間差:ボタンを押してから、サーバーで約定が処理されるまでの短い間に、レートが動く。
- 流動性の低下:市場に出ている売買の量が少なく、希望の価格に十分な注文がない。
- 急激な値動き:重要指標の発表直後、政策発表、地政学リスクのニュースなど。
- 窓開け:週末や休日の間に相場が大きく動き、再開時の価格が離れている。
発生しやすい場面
| 場面 | 理由 |
|---|---|
| 米雇用統計・FOMCなどの重要指標の直後 | 数秒で数十 pips 動くことがある |
| 週明けの市場の寄り付き | 窓開け(ギャップ)が起こりやすい |
| 早朝や年末年始 | 参加者が少なく、流動性が低い |
| 逆指値・ロスカットの執行 | 成行で執行され、急変動時にずれる |
スリッページの具体例
逆指値の損切りが、スリッページで不利になった例です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 買いポジション | 150.00円で1万通貨 |
| 逆指値(売り) | 149.70円 |
| 指標発表後、急落し、約定したレート | 149.40円 |
| 想定した損失 | 3,000円(30 pips) |
| 実際の損失 | 6,000円(60 pips) |
30 pipsのずれで、損失が2倍になっています。数量が大きいほど、影響も大きくなります。
対策
- 指標の前後は取引を控える、または数量を減らす。
- 成行注文に、スリッページの許容幅を設定できる会社では、小さめの値にする(設定を超えると、約定しない・再提示になる)。
- スプレッドが広がっている時間は、新規のエントリーを避ける。
- 重要な指標の前後では、ポジションを持ち越さない。
- 約定力(約定力)に注目して会社を選ぶ。
スリッページの注意点
- 指値注文は、指定価格より不利な価格では約定しません(有利な価格に滑ることは起こり得ます)。
- 許容幅を狭くしすぎると、約定しないことが増えます。
- 逆指値やロスカットは、成行で執行されるため、許容幅を設定しても、約定を優先する会社もあります。取引ルールを確認します。
スリッページでよくあるミス
- 損切りの逆指値は、設定した価格でぴったり約定すると思い込む。
- 経済指標の発表直後の値動きに、成行で飛びつく。
- スリッページは、運や不運の問題だと考え、数量や時間帯での対策を取らない。
スリッページのチェックリスト
- 自分の取引会社のスリッページの扱い(許容幅の設定、有利・不利の取扱い)を知っているか。
- 重要指標の日程を確認し、前後の取引ルールを決めているか。
- 損切りの価格を、ずれた場合の損失額で試算したか。
スリッページのFAQ(よくある質問)
Q. スリッページは、避けられませんか?
A. 完全に避けることはできません。ただし、取引する時間帯や、注文方法、数量を工夫して、影響を小さくできます。
Q. 有利なスリッページも、取引会社はそのまま約定させますか?
A. 国内では、金融庁の監督指針で、不利なずれは不利な価格で約定させる一方、有利なずれは顧客に還元しないといった「非対称な取扱い」や、不利な方向の許容幅だけを広く設定する取扱いは、問題のある行為として示されています。そのため、国内の登録業者では、有利・不利のどちらのずれも同じ扱いで約定させるのが原則です。具体的な扱いは、各社の取引説明書で確認します。
Q. ロスカットでスリッページが起こったら、補償されますか?
A. 補償されるのが一般的ではありません。約款に従って処理されます。
スリッページを、自分で記録する方法
取引日誌に、次の2つを、記録します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 注文時のレート | 注文ボタンを押したときの、画面のレート |
| 約定レート | 実際の、約定価格 |
1〜2か月分を集計すると、自分の取引会社・時間帯・注文方法での、平均的なずれが分かります。この数字を、コストとして期待値に織り込むと、手法の実際の成績が、より正確に見えます(トレード日記)。
筆者の見解(スリッページ)
スリッページは、「想定した損失より、実際の損失は少し大きくなる可能性がある」ことを前提にする、という意味で、リスク管理の一部だと考えます。許容損失の上限を決める際に、余裕を見て数量を抑えることで、ずれが起きても、損失が許容範囲に収まりやすくなります。また、重要な指標の前後は、取引をしない時間として割り切る判断も有効です。
スリッページの関連項目
出典(一次情報)
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・売買の推奨ではありません。「筆者の見解」は一つの考え方であり、結果を保証するものではありません。FX取引は元本を上回る損失が生じるおそれがあります。