ニュース

企業物価指数9月は前年比6.8%、輸入物価は円ベースで24.5%上昇

日銀が公表した9月の企業物価指数は前年比6.8%で、8月の7.6%から伸びが縮小しました。輸入物価の契約通貨ベースと円ベースの差から、為替が仕入れ価格に与える影響を整理します。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて

日本銀行は2026年10月13日、2026年9月の企業物価指数(速報)を公表しました。結論から言うと、国内企業物価指数は前年比+6.8%で、8月の+7.6%から伸びが縮小し、前月比では8月(訂正値)に続き▲0.3%でした。一方、円ベースの輸入物価は前年比+24.5%と高い伸びが続いています。この記事では、企業物価指数9月分の数字と、為替レートとの関係をFXを学ぶ人向けに整理します。相場の予想や売買の判断は扱いません。

ニュースの概要

企業物価指数は、企業どうしで取引されるモノの価格の動きを表す統計で、日本銀行が毎月公表しています。国内向けの「国内企業物価指数」のほか、「輸出物価指数」と「輸入物価指数」があり、輸出入の物価は契約に使った通貨のままの「契約通貨ベース」と、円に換算した「円ベース」の両方で示されます。

今回公表された9月速報では、国内企業物価指数(2020年平均=100)は135.7でした。前年比の伸び率は6.8%と、7月の7.7%、8月の7.6%から下がりました。なお、2026年は3月の前年比3.0%から、4月に5.5%へ急上昇し、5月は6.8%、6〜8月は7%台で推移していました。

企業物価指数9月分で何が分かったのか

主な数字は次のとおりです(いずれも9月速報)。

  • 国内企業物価指数: 前月比▲0.3%、前年比+6.8%
  • 輸出物価指数: 契約通貨ベースで前月比+1.4%(前年比+12.4%)、円ベースで前月比+0.5%(前年比+17.9%)
  • 輸入物価指数: 契約通貨ベースで前月比+1.0%(前年比+17.9%)、円ベースで前月比▲0.2%(前年比+24.5%)
  • 参考のドル/円相場: 前月比▲1.5%(統計上、マイナスは円高を示します)

国内企業物価の前月比を押し下げたのは、農林水産物(寄与度▲0.42ポイント。玄米、精米、豚肉など)と石油・石炭製品(同▲0.15ポイント。B重油・C重油、軽油、ジェット燃料油など)です。農林水産物は前月比▲8.8%と大きく下がりました。一方、電力・都市ガス・水道は前月比+1.3%(寄与度+0.08ポイント)と上昇しています。類別では、非鉄金属が前年比+40.2%(8月は+43.3%)と、伸びはやや縮んだものの高い水準です。

7月から9月は夏の電力料金の割増の影響を除いた「夏季電力料金調整後」の指数も公表されており、9月はこちらも前月比▲0.3%、前年比+6.8%と、総平均と同じ伸びでした。輸出物価は、円ベースの前年比(+17.9%)が契約通貨ベース(+12.4%)を約5ポイント上回っています。輸入物価も円ベース+24.5%、契約通貨ベース+17.9%と同じ形で、この差から、契約通貨に対して1年前より円安だったことが読み取れます。

輸入物価(契約通貨ベース)の上昇には、石油・石炭・天然ガス(寄与度+0.69ポイント。液化天然ガス、ナフサなど)が最も大きく寄与しました。

読者への影響

FXを学ぶ人にとって注目したいのは、輸入物価の「契約通貨ベース」と「円ベース」の差です。9月は契約通貨ベースでは前月比+1.0%と上がった一方、円ベースでは▲0.2%と下がりました。同じ月の参考のドル/円相場は前月比▲1.5%(円高方向)で、外貨建ての価格が上がっても、円高がその分をおおむね打ち消して、円で払う金額はわずかに下がったことになります。為替レートの変化が、企業の仕入れ価格にどう伝わるかを数字で確かめられる例です。

企業物価は、時間をおいて消費者物価にも影響すると一般に考えられており、日本銀行の金融政策を考えるうえでも参照される統計の一つです。ただし、企業物価の伸びが縮んだことが、今後の政策や為替レートにどう影響するかを、この統計だけで判断することはできません。

物価に対する家計の受け止め方は、日銀の生活意識アンケートの記事で、政策金利の背景は植田総裁の挨拶の記事で紹介しています。

確認すること

  • 原数値は日本銀行の「企業物価指数の公表データ一覧」で、9月速報のPDFを確認できます。速報値は翌月以降に訂正されることがあります(表の「r」は訂正値)。
  • 輸入物価を見るときは、契約通貨ベースと円ベースの両方を並べ、その差が為替の影響か、外貨建て価格そのものの変化かを分けて考えましょう。
  • 次回(10月分)の公表は11月12日(木)の予定です。
  • 過去のデータを自分で並べたい場合は、日本銀行の「時系列統計データ検索サイト」から取り出せます。
  • 経済指標の発表前後は値動きが大きくなることがあります。取引をしている人は、証拠金維持率やロスカットの条件をあらかじめ確認しておきましょう。

筆者の見解

私見では、9月の国内企業物価を読むときは、前年比が7.6%から6.8%に縮んだという見出しの数字よりも、前月比▲0.3%のうち▲0.42ポイントが農林水産物という1つの類別から来ている点を先に押さえるべきだと考えます。玄米・精米・豚肉といった天候や需給で振れやすい品目を除くと、飲食料品・化学製品・プラスチック製品・電力などは前月比で小幅に上がっており、「物価全体が下がり始めた」と読むのは早いと考えます。また、円高で下がったのは輸入物価(円ベース)で、国内企業物価とは別の指数の動きです。国内の価格に反映されるまでには時間差があるという点は見落としやすいところです。為替を学ぶ立場からは、輸入物価の契約通貨ベースと円ベースの差を毎月メモしておくと、円相場の変化が仕入れ価格を通じて国内に伝わる順番を、自分の手で確かめられるはずです。

出典(一次情報)

2026年10月14日時点の情報です。

本記事は情報提供を目的としており、投資助言・売買の推奨ではありません。「筆者の見解」は一つの考え方であり、結果を保証するものではありません。FX取引は元本を上回る損失が生じるおそれがあります。

PR当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。掲載内容は広告主から依頼・指示を受けたものではなく、筆者の調査・体験にもとづきます。