税金・法規制

FXと他の金融商品の損益通算先物・株・仮想通貨・投資信託

国内のFXの損益は、同じ「先物取引に係る雑所得等」の範囲でのみ損益通算できます。株式、投資信託、暗号資産、給与とは通算できません。通算できるもの・できないものを整理します。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて

FXと他の金融商品の損益通算とは

損益通算とは、ある所得の損失を、ほかの所得の利益と相殺して、税金を減らす仕組みです。国内の登録業者のFXは、「先物取引に係る雑所得等」に分類され、通算できる範囲が、限られます。

通算できるもの

国税庁の説明では、FXの差金等決済による損失は、他の「先物取引に係る雑所得等」の金額との損益通算が可能です。

通算できる相手 内容
国内の登録業者のFX(複数口座) すべて合算して計算
取引所FX(くりっく365など) 先物取引に係る雑所得等に含まれる
商品先物取引・日経225先物・オプション取引 同じ区分(一定の取引)

通算できないもの

相手 理由
給与・事業・不動産などの所得 国税庁の説明で、「先物取引に係る雑所得等以外の所得との損益通算はできない」
株式・ETF・投資信託の譲渡損益、配当 別の分離課税(上場株式等)で、区分が異なる
暗号資産(仮想通貨)の損益 現行の取扱いでは、一般に雑所得の総合課税。FXとは別(課税の見直しが議論されているため、最新は国税庁で確認)
海外業者のFXの損益 総合課税の雑所得。国内FXとは通算できない(国税庁 No.1521・No.1522 の対象が国内の登録業者との取引に限られるため)

暗号資産のデリバティブ

国税庁の説明では、店頭デリバティブ取引のうち、一定の暗号資産に係るものは、先物取引に係る雑所得等の対象から、除かれています。暗号資産の証拠金取引と、FXは、通算できません。最新の扱いは、国税庁で確認してください。

損失の繰越

通算してもなお、引ききれない損失は、翌年以後3年間、繰り越せます(損失の繰越控除・損失が出たときの確定申告参照)。繰り越した損失も、先物取引に係る雑所得等の範囲内でしか、差し引けません。

FXと他の金融商品の損益通算の具体例

取引 損益
国内FX(A社) +80万円
国内FX(B社) −30万円
くりっく365 −10万円
合計(先物取引に係る雑所得等) +40万円
国内株式の売却損 −50万円(通算できない)

FXとくりっく365の損益は、合算できます。株の損失は、この40万円から引けません。

区分ごとの管理表の例

複数の金融商品を持つ人は、区分別に、損益を記録しておくと、申告が楽になります。

区分 含まれる取引 通算の範囲
先物取引に係る雑所得等 国内FX・取引所FX・先物・オプション 区分内でのみ通算・繰越
上場株式等 株式・ETF・投資信託 区分内でのみ通算
総合課税の雑所得 海外FX・暗号資産など 雑所得の範囲内

表を作っておくと、どこに、どの損益を入れるかで、迷いません。

FXと他の金融商品の損益通算の注意点

  • 確定申告では、先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書に、損益を記入します。
  • ほかの金融商品の損失を、FXの利益から引こうとする申告は、誤りになります。
  • 損益通算の範囲は、税制改正で変わる可能性が、あります。最新の内容を、国税庁で確認します。

FXと他の金融商品の損益通算でよくあるミス

  • 株の損失で、FXの利益を減らせると思う。
  • 暗号資産と、FXの損益を通算してしまう。
  • 海外FXの損失を、国内FXの利益から引く。

FXと他の金融商品の損益通算のチェックリスト

  • 通算したい取引が、同じ区分か、確認したか。
  • 取引相手が、国内の登録業者か。
  • 計算明細書を、添付したか。

FXと他の金融商品の損益通算のFAQ(よくある質問)

Q. FXの損失を、給与から引けますか?
A. 引けません。繰越控除で、将来のFXの利益と相殺します。

Q. 株の利益が出ている年に、FXで損をしたら?
A. 相殺できません。FXの損失は、FXなどの、先物取引に係る雑所得等の利益とのみ、通算されます。

Q. NISAの損益は?
A. NISA口座の損益は、もともと課税の対象外で、通算の対象にも、なりません(NISAとFXの違い参照)。

筆者の見解(FXと他の金融商品の損益通算)

「損益通算」は、ルールを知らないと、期待外れになりやすい制度だと思います。FXの損失は、FXの利益でしか取り戻せないと、割り切って考えると、損失の繰越の重要性が、理解しやすくなります。複数の金融商品を、使う人ほど、区分ごとに、損益を管理することを、おすすめします。

FXと他の金融商品の損益通算の関連項目

出典(一次情報)

本記事は情報提供を目的としており、投資助言・売買の推奨ではありません。「筆者の見解」は一つの考え方であり、結果を保証するものではありません。FX取引は元本を上回る損失が生じるおそれがあります。