店頭FXの9月取引金額は1,227兆円、前月比48.6%増
金融先物取引業協会の店頭FX月次速報で、2026年9月の取引金額は約1,227兆円と前月比48.6%増。ドル円が約9割を占めました。建玉・信託保全率・ロスカット未収金の数字もあわせて整理します。
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金融先物取引業協会(FFAJ)が公表した「店頭FX月次速報」によると、2026年9月の店頭FX(店頭外国為替証拠金取引)の取引金額は、全通貨ペアの合計で約1,227兆1,914億円でした。8月の約825兆7,165億円から48.6%増え、前年同月(2025年9月、約952兆7,487億円)と比べても28.8%の増加です。このうちドル円が約1,108兆5,746億円で、全体の約9割を占めています。
同じ協会のモニタリング資料では、9月に個人のロスカット等未収金が発生した口座は0件でした。この記事では、9月の数字を、取引金額・建玉・信託保全・未収金の4つの面から整理します。相場の見通しや売買の判断には触れません。
9月の店頭FX取引金額は1,227兆円、8月から48.6%増
FFAJの月次データ(単位は百万円)から、全通貨ペア合計の取引金額を並べると次のとおりです。
- 2026年9月: 1,227,191,444百万円(約1,227兆円)
- 2026年8月: 825,716,490百万円(約826兆円)
- 2026年7月: 882,076,835百万円(約882兆円)
- 2026年6月: 667,555,285百万円(約668兆円)
- 2025年9月: 952,748,655百万円(約953兆円)
9月は今年に入ってからの月で最も多く、2月(約1,202兆円)や2025年10月(約1,221兆円)も上回って、2025年5月(約1,338兆円)以来の水準になりました。ただ、過去のデータ全体で見ると、最も多かった2025年4月(約1,469兆円)や、2024年7月・8月(いずれも約1,450兆円前後)には届いていません。「過去最高」ではなく、「今年の最高」という位置づけです。
ドル円の取引金額は、日本円換算で約1,108兆5,746億円(8月は約712兆723億円)。全体に占める割合は約90%で、店頭FXの取引がドル円に強く偏っている構図は9月も変わっていません。なお、日本銀行は9月17・18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を1.0%程度から1.25%程度に引き上げていますが、統計そのものからは、取引が増えた理由までは分かりません。
建玉は11.7兆円、円は売り越しが3.2兆円
月末の建玉(未決済のポジション)は、全通貨ペア合計で約11兆7,158億円でした。8月末の約12兆1,642億円から少し減っています。内訳は売建が約4兆3,359億円、買建が約7兆3,799億円です。
通貨別の建玉を見ると、日本円は売建が約6兆8,059億円、買建が約3兆6,280億円で、差し引き約3兆1,779億円の売り越しでした。米ドルは買建が売建を約8,494億円上回る買い越しです。店頭FXの参加者全体として、円を売って外貨を買う向きのポジションが多い状態で、円の売り越しは7月以降3か月続いています(6月末は円の買い越しでした)。これは月末時点の集計で、個々の取引の損益や今後の値動きを示すものではありません。
預かり金の信託保全率は105.84%
FFAJは、FX業者が顧客から預かった証拠金を信託で区分管理している状況も毎月公表しています。9月末の「顧客区分管理必要額」は約1兆8,233億円、信託額は約1兆9,298億円で、信託保全率は105.84%でした(8月末は103.39%)。保全率が上がったのは信託額が増えたからではなく、必要額が約974億円減り、信託額の減少(約561億円)を上回ったためです。率の上下は、分子と分母のどちらが動いたかを分けて見ないと、業界の保全が手厚くなったと誤って読んでしまいます。
国内のFX業者には、法令により、顧客の証拠金を会社の資産と分けて信託銀行などに預ける「信託保全」が義務づけられています。業界全体の数字が100%を上回っていても、口座を持つ業者ごとの状況は別なので、利用中の業者が信託先や保全の方法をどう開示しているかは、各社の公式サイトで確かめておくとよいでしょう。
ロスカット未収金、9月の個人は0件
相場が急に動くと、ロスカット(強制決済)が間に合わず、口座の資金を超える損失が出て、業者への「未収金」になることがあります。FFAJの「ロスカット等未収金発生口座数(月次・速報)」によると、2026年9月に未収金が発生した個人の口座は0件、法人は店頭取引で2件(金額は約5千円)でした。
この1年で目立つのは2026年7月です。個人で45件(店頭取引43件、市場取引2件)、金額は合計約534万円にのぼり、2月(20件)や3月(26件)を大きく上回りました。8月は個人1件、9月は0件と落ち着いています。取引金額が大きく増えた9月に未収金がほとんど出ていないことから、取引量の多さと未収金の発生は必ずしも連動していないことが分かります。
このデータから読者が取れる行動は、自分の口座のロスカット水準と、急変時に未収金が出たときの扱い(請求や支払い方法)を、業者の説明書面で一度確かめておくことです。ロスカットの仕組みはロスカットとは|強制決済の仕組み・水準・注意点、未収金と追証の違いは追証(追加証拠金)とはで解説しています。
取引が膨らんだ月の数字を見ると、つい「みんなが取引している今が好機」と受け取りがちですが、統計が示しているのは参加者全体の量と月末の偏りだけだと考えます。むしろ注目したいのは、9月の売買の約9割がドル円に集中し、建玉の円の売り越しが3兆円を超えている点で、同じ方向のポジションが積み上がっているときほど、急な逆向きの動きでロスカットが重なりやすいという構造上の特徴です。建玉の内訳を見ると、円の売り越しは8月より約3,000億円増えた一方、米ドルの買い越しは約1.27兆円から約0.85兆円に縮んでいて、合計の数字だけでは見えない変化もあります。7月に未収金が45件出たように、平穏な月が続いた後に一度に出ることもあるので、取引量の増減よりも、自分のレバレッジと証拠金維持率を月ごとに見直す習慣のほうが役に立つはずです。日銀の政策金利の背景は植田総裁の全国証券大会での挨拶の記事でまとめています。
出典
- 金融先物取引業協会「店頭FX月次速報」(2026年9月分。取引金額・建玉・顧客区分管理のデータ)
- 金融先物取引業協会「ロスカット等未収金発生口座数(月次・速報)」
- 金融先物取引業協会 トップページ(最新ニュース、2026年10月15日掲載)
- 日本銀行「(参考)金融市場調節方針の変更(2026年9月金融政策決定会合)」(PDF)
2026年10月16日時点の情報です。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・売買の推奨ではありません。「筆者の見解」は一つの考え方であり、結果を保証するものではありません。FX取引は元本を上回る損失が生じるおそれがあります。